【日にち薬(ひにちぐすり)】- 現代に使いたい日本人の感情、情緒あふれる言葉

【日にち薬(ひにちぐすり)】- 現代に使いたい日本人の感情、情緒あふれる言葉

京都、大阪など関西で使われてきた言葉で、今も使われている。腕を骨折した友人が、
「だいぶよくなってきたが、まだ、咳をすると痛いねん。あとは日にち薬やね」と言う。

「日日薬(ひにちぐすり)」の意味は、「あとは日にちがたてば自然によくなること」
月日、歳月が薬代わりとなることで、「骨折には日にち薬がいちばんだ」とか、「日にち薬が治してくれる」などと用いる。
病気や怪我だけでなく、悲しい出来事、つらい経験についても、時がたてば次第に記憶が薄れ、やがて乗り越えられるというニュアンスでも使われる。

関西で使われてきた言葉のため、方言として扱われたからだろうが、国語辞典には収録されていなかったが、二〇〇八年に三省堂国語辞典に初めて見出しに載った。今は大辞泉電子版にも収録されている。
病気や怪我で入院した知人が治療を終えて退院し、自宅療養するまでに回復してきたとき、
「よかったですね。日にち薬ですから、もう少しの辛抱ですね」とか、「もう安心ですね。後は日にち薬ですね」と言って励ますとよいだろう。

ただし、最近はこのこの言葉、違う解釈をする人もいるようである。
関西以外の人はなじみがないため、最近の若い人は、医師に「あとは日にち薬が治してくれますよ」と言われたら、治療法がないからそう言われたと受け止めた人がいたという話を読んだか聞いたかしたことがあった。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。