東 雑記帳 - 酒を飲んだら水をどれだけ飲めばよいのか

東 雑記帳 - 酒を飲んだら水をどれだけ飲めばよいのか

酒は脱水する。だから、六十歳以上の高齢者が大酒を飲んだあとに脳卒中の発作を起こして死んだりすることがある。
ある六十代半ばの知り合いは、老化したのかこの頃トイレが近くなって夜間就寝中に何回も何回も起きるという。聞けば、寝る直前まで酒を飲んでいるというではないか。

それでは、どのように対策すればよいか。酒を飲んだ後にラーメンを食べるのは理にかなっている。酒は糖質を奪うが、ラーメンは糖質も脂質も水分も摂取できるからだという。また、お茶漬けが食べたくなるのは、無意識のうちに糖分と水分を補おうとするからで、こちらも理にかなっている。しかし、その程度では、飲酒による脱水は補えないだろう。
また、日本酒の組合だろうが、「和らぎ水」と称し、清酒を飲みながらチェイサーとしての水を飲むように勧めている。この方法も理に叶っているが、ウイスキーのストレートやロックなら合うが、日本酒にはどうもしっくりこない。

水を飲む目的は、酒毒を消し、害を消すことにある。水でアルコールを薄めることにより、酒毒のアセトアルデヒドの害を少なくする。だから、アルコールの濃度に応じ、濃度(度数)が高い酒ほど水をたくさん飲まなければならないことになる。
それでは、具体的にどれぐらいの量の水を飲めばよいのか。
故甲田光雄博士によると、飲む水の量飲む目安は、ビールなら2倍、日本酒なら3倍、25度の焼酎なら7倍、35度の焼酎なら10倍、ウイスキーなら20倍だという。
ということは、生ビール中(500㎖)と日本酒一合(180㎖)、焼酎一合(180㎖)を飲んだとすれば、飲むべき水の量は3.8リットルということになる。
夜遅くこれほどの量の水を飲むことは不可能であるし、仮に飲めたとして、就寝中にいったい何回トイレに行くことになるだろう。

これではどうにもならないが、かといって飲む量を減らしたくもない。昼飲みをするしかいかと、少し酔いが回った頭で愚考するのであった。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。