東 雑記帳 - 水を一日に9リットル飲んでみた!

東 雑記帳 - 水を一日に9リットル飲んでみた!

自分が飲んだわけではない。今は亡き、治療としての少食を自ら実践し、乞われて難病の患者に指導して、独自の少食療法を確立したある医師が試したのであつた。数えられないほど多くの人を救ってきた。現代医学の医師が少食や一日二食の効用を説くとき、実はこの医師の研究がバックボーンにある。その名前を出そうと出すまいと、読めば一目瞭然である。

水に関するみの話は、取材した折に本人から聞いた。
それによると、最高で一日に9リットル飲んだというのである。なんと五升ついでである。
そんなに大量の水が飲めるはずがないと思うだろうが、飲んだのである。
なぜ飲めたのか。水は盃に入れ、ちびちびと飲む。この先生は普段から、水は盃で少しずつ飲んでいた。この先生の先生にあたる人の教えであった。
そして、これは聞かなかったが、おそらく一日絶食したのであろう。先生は、断食の大家でもあった。
生水以外、何も飲食しなかったから、九リットルもの大量の飲めたのだろうと思う。

さて、結果はどうだったかというと、
「一日中ずっと、水のような便が出続けましたよ」
尿のことは聞かなかったが、ちびちび飲んだから、即シッコで出ることはなかったのだろうか。時間をかけてちびちび飲むから、体内に吸収されるし、水中毒にもならないのだろう。

アメリカの俳優、ロック・ハドソンはエイズを発症し亡くなったが、生前、側近の者がこの医師に診察を依頼してきたが断ったという噂があった。それを小耳にはさみ、「先生、あの話は本当ですか」と直裁的に聞いたところ、「はい」と一言。そこで続けて「どうして断ったのですか」とたずねたところ、かの大家の先生はただニコニコ微笑んだのだった。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。