東 雑記帳 - 一身上の都合により、お休み

東 雑記帳 - 一身上の都合により、お休み

近所のスーパーが改装のため、明日から休業になる前日。家の者が、
「今日はいつもよりも閉まる時間が早いのかなあ」という。
この店は中堅スーパーチェーンの一店舗といえば適切だろうか。

ウェブサイトで検索すると、休業案内のチラシのPDFがあったので開いてみた。
そこには、次のようなタイトルがあった。

 

○○○○○ ○○○店
一身上の都合により、お休みさせていただきます。
改装休業期間
○月○○日(月)~○○日(水)まで

 

一身上の都合って、どういうことだろうと訝りながら本文を読んだところ、概略「創業十数年たち、大きな改装をするために十日間休業させていただく」と説明してあり、末尾に、「○○○○○○○○店 店長」とある。

改装のための休業が一身上の都合による休業だというのだから、驚いた。現代風にいうと、目が点になるではないか。
個人経営の単独の小店舗なら、店主が病気になって仕方なく休業する場合などは、「一身上の都合により休業」云々でおかしくない。
ところが、このスーパーは堂々たる規模の企業の系列のチェーン店である。信じられない。

「一身上の都合だって!?」と思わず口に出していうと、家の者が「何日か前のチラシにも、『一身上の都合』って書いてあったよ」と探し出して持ってきた。チラシはPDFを印刷したものだった。

翌日、つまり休業に入ったその日の朝、昨日のPDFがどうなっているだろうかと思って検索したところ、改装のために何月何日から何日まで休業すると手短に書かれているだけ。チラシについては「現在掲載中のチラシはありません」となっており、PDFはなくなっていた。

なぜPDFを外したのだろうか。「一身上の都合」という不適切な言葉を使っていることに、会社の上層部が気づいたのだろうか。それにしてもなあ。

 

文:東/茂由 ライター
1949年、山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒。現代医学から東洋医学まで幅広い知識と情報力で医療の諸相を追求し、医療・健康誌、ビジネス誌などで精力的に取材・執筆。心と体、ライフスタイルや環境を含めて、健康と生き方をトータルバランスで多面的に捉えるその視点に注目が集まる。